速読について、よく聞かれるご質問をまとめています。他で言われている答えとは、違ったものになっているでしょう。これら以外にもご質問などはあると思われます。「お問合せ」より遠慮なくお聞きください。
Q. 速読というと視野を拡大するという印象があるのですが?
Q. 斜め読みや拾い読みとは違うのでしょうか?
Q. 速読をやると記憶力や集中力が上がると聞いたのですが?
Q. 速読とは右脳で読むのですか?
Q. どのくらい速くなるのですか? 何倍くらいになるのですか?
Q. 速読の習得はかなり難しいと思うのですが?
Q. 本を速く読む能力には、才能といった先天的なものがあるのではないでしょうか?
Q. どうしても音読してしまうのですが?
Q. 訓練の直後は速くなるかもしれないが、時間が経ったら、効果は下がってしまうのでは?
Q. 速読はどんな本にも有効なのですか?
Q. 速読の訓練に、合う合わないという相性はあるのでしょうか?
Q. 速読というのは独学では難しいのでしょうか?
Q. 本はゆっくりと読みたいのですが……?
Q. 速読というと視野を拡大するという印象があるのですが?
A. 速読に関しての書籍その他では確かにこうしたことが言われています。別に否定するわけではないですし、そうしたトレーニングも行ないます。しかし、ひとりひとりの速く読めない問題点というのは違っています。例えば身体の姿勢に問題のある人は、まずはこの問題をクリアさせなければなりません。視野というものに意識が行き過ぎたならば、効果的なトレーニングにはなりません。
実は、速読に興味を持っているという人の中には、このようなケースがとても多いのです。まずは、土台となる部分をしっかりと固めていくことが大切です。短時間でもその基礎のトレーニングを行なうことは可能です。
Q. 斜め読みや拾い読みとは違うのでしょうか?
A. あまりこうした言葉に拘らないで考えてください。例えば、Aさんの斜め読みの速度と理解、Bさんの斜め読みの速度と理解というのは全く違ったものです。読書速度の速い人というのは、斜め読み(という言葉を使ったとして)でも速く理解も深い状態です。ひとりひとりの「斜め読み」という言葉の意味が違うわけですから、その言葉だけを取って話をしてもボタンの掛け違いに終ってしまいます。
仮に「斜め読み」という言葉を使うのであれば、次のように考えて欲しいのです。 「斜め読みをより速いものとし、理解を深め、効果的に読書の中で活用していきましょう。」 実はこういうことが速読というものの本質でもあります。
Q. 速読をやると記憶力や集中力が上がると聞いたのですが?
A. わりとよく言われていることかもしれません。「速読」というものをどのように定義するかにもよるのですが、この質問というのは、ちょっと違っているのです。何が違うかというと、逆に考えてもらうと、速読とは何なのかが見えてきます。
速読の訓練では一般的に、記憶力や集中力を上げていく、というようなことを行ないます。完全にこうした言葉に該当しないかもしれませんが、わかりやすく言えば、読んだときの理解力を向上させる訓練を行なうわけです。「速読」というと、どうしても「速さ」だけという部分的な印象を持たれてしまいがちです。「広義の意味での速読(理解を伴う)」と「狭義の意味での速読(理解を伴わない)」と分けて考えるとわかりやすくなるでしょう。
最終的に、速読の訓練が目指すところは、前者の理解を伴うものです。ですから、理解力を向上させる訓練というのを行なうわけです。そうしたものが、記憶力や集中力と結びつくものです。
この質問の文章を使うならば、「記憶力や集中力を向上させることで、読書能力全体を引き上げることが速読である」と言うことができるます。「速読をやると……」という質問は、そうした意味では、逆の話なわけです。
Q. 速読とは右脳で読むのですか?
A. 速読関連では、よくこの「右脳」という言葉が使われます。リーディングフィールズでは、こうした言葉を使うことはありません。
(1)速読というものを、あまり限定しないでください
どうしても、「速読」という状態を特別なものとしてしまいがちです。ある一定の読み方みたいなものとして。このように考えてしまうと、1か0かという完全主義的な思考になってしまい、速読の重要な部分である、柔軟性が弱くなってしまうことになります。
速読を、絶対的なものではなく、相対的なものとして考えてみてください。例えば、1万字以上読むのが速読だと限定してしまうと、500字だった人が2000字になることに意味が無くなってしまいます。読書速度のアップは人によって違います。ひとりひとりの現在の読み方は同じではないからです。言葉として限定しないで、相対的に柔軟に考えることで、読書を効果的にしていくということを、やっていただきたいのです。
(2)本を読むときに、右脳を意識するか
訓練の中で、右脳を鍛えるようなことは行います。しかし、読書というのは、いろいろな読み方によって成り立つものです。右脳で読んでいるか、と意識しながら本を読む人もいないと思います。また、こうした話というのは、あれもこれもごっちゃになってしまっているように感じます。
読書を次の2段階に分けて考えてください。
・第1段階:ゆっくりと本の内容を映像化、図解化して読む
・第2段階:ある程度ページを進んで理解を深めたところで速さを加える
まったく最初から、この2つのことを同時に行なうのは、ほぼ無理です。しかし、この2つに段階を分けることで、理解と速さというものがミックスされてきます。まずは、ゆっくりと読む。本を速く読むことにとって、とても重要なことなのです。
Q. どのくらい速くなるのですか? 何倍くらいになるのですか?
A. 速読に関してよくあるのがこの質問です。答えは、「わかりません」です。どうしてわからないか、その答えはシンプルなものです。ひとりひとり違うからです。実際のその方の読書の状態を見せていただかなけれど、どうなるかを答えることはできません。 600字(分)だった読書速度が3000字(分)になったならば、5倍です。これは不可能ではないです。というのは、速く読む力がありながら、その読み方の問題で、普段の速度があまりにも遅くなっているというケースがあるからです。
読書速度の問題点というのは、ある程度の時間の必要な部分と、時間の必要でない表面的な部分と、2つに分けられます。あくまでも、その方の本の読み方を見せていただいて、そこで、訓練を行なうことで、どのくらいになるかの判断がつきます。後者の問題点であれば、ある程度の効果は出てきます。このようなケースの多いことは確かです。多くの方と言うよりも、速読に関心を持つ方と言えるかもしれませんが。また、5倍という数字を考えるなら、3000字(分)だった人は、15000字(分)になってしまうという計算になります。何倍という数字を、一律に考えることはできません。
もちろん、目安ということでの数字を言うことは可能です。リーディングフィールズで4時間の受講をしていただいた読書速度としては、平均して約2倍くらいのデータは出ています。問題は、この速度を自宅の定着させ、読書の土台をしっかりとしたものにすることです。そうすれば、もっと速く読んでいくことも可能です。読書速度というのは、受動的に「速くなった」ということではなく、その「速さ」をいかに活用していくかが、実は重要なところです。こうした意味でも、「どのくらい速くなるのですか?」の答えは、やや難しい説明になるわけです。
Q. 速読の習得はかなり難しいと思うのですが?
A. 速読関係の書籍などでは、こうしたことはよく言われたりします。まずは、「速読」とは何かということを一度よく考えていただきたいと思います。例えば、辞書で「速読」という言葉を調べてください。ものすごい高速で読む読書とは書かれていません。
実は速読に興味を持っている人からよくよく話を聞くと、読書が苦手なので少しでも克服したい、ということだったりします。仮に(あくまでも漠然とした仮の話です、そのように考えてはいませんが)、1分間で1万字読むのが「速読」だとしましょう。1分間で1000字読む人にとって、1万字が速読の習得であれば、かなり高い目標の設定になります。正直なところ、あまり現実的ではありません。
現実的でない「習得」という目標を設定し、「難しい」と判断してしまっているケースが多いようです。まずは、現実的に1500字、2000字を目標として、目指していただきたいと思います。 こうした読書速度でも、自分のものになったならば、かなり有意義なはずです。読書というものは、自分が自ら行なうものであり、自然に頭に入るようなものではありません。 まずは、身近なことを、しっかりとやっていくことで、読書速度というのは、向上させることができます。ちょっとした考え方、向き合い方で違ってくるのです。
Q. 本を速く読む能力には、才能といった先天的なものがあるのではないでしょうか?
A. このような意見を否定するつもりはありません。ただ、その人の読書の全てが先天的なものではないはずです。仮に先天的なものが半分、後天的なものが半分だったとしましょう。後天的な部分を修正していくだけでも、大きく読書は変わっていくのではないでしょうか。例えばスポーツで、プロやオリンピックを目指すのであれば、先天的な能力も大きく関わってくるかもしれません。
しかし、基本の速読講座の目的は、そうした一部の方の特別な速さのためではありません。読書をより楽しく、仕事や勉強をより効率的なものにしたいと考えている皆さんに必要な力をつけるものです。まずは、後天的な部分に関して、できる限りのことをやってみるのが大切ではないでしょうか。
Q. どうしても音読してしまうのですが?
A. 基本の速読講座の中では、この音読の話をすることはあまりありません。 質問されたら答えるのですが、あまり深く考えることではないです。どんなに速く読む人でも、音読することはあります。 それを良いとか悪いとかで、決めてしまうことではないでしょう。 確かに、あまりにも全ての読書の状態が、この音読であれば、やや問題です。ひとつの読み方に捉われないで、いろいろな読み方を行なうことが速読といってもいいです。
訓練の中では、実際に、変化をさせていろいろな読み方を実践していただきます。当然、音読の無い読み方も行ないます。実は、音読の問題というのは、やるかやらないかという、とてもシンプルなことだったりするのです。音読についての悩みを持つ人は、読書というものを狭い範囲で考えてしまいがちです。広い範囲で読書というものを考えたならば、音読の無い読み方というものを、違った感覚で考えることができます。気持ちの問題、考え方だったりする部分は大きいのです。
Q. 訓練の直後は速くなるかもしれないが、時間が経ったら、効果は下がってしまうのでは?
A. 答えは、イエスとも言え、ノーとも言えます。結局のところ、自宅などで自分の読書をどれだけ変えられるか、ということになると思います。速読の訓練で行なったことを自分の読書にシフトするのは、自分にしか出来ないことです。本を読まなくなったなら、訓練で得たことなど忘れてしまうかもしれません。
授業において、背伸びをすることは確かです。しかし、背伸びをしなければ成果は出せません。意味のある良いものであったか、これからの自分の読書に繋がるものであったかどうかで、判断していただくものとなるのではないでしょうか。
4時間の中で行うメニューは、一時的に何かを変化させる、というよりも、「修正を行う」「気づき」のあるもの、土台作りとなるものを取り入れています。
こうした点では、「速読」というものを「料理」と同じように考えていただきたいです。料理は教わっているときには、モチベーションもあり、それなりには美味しいものが作れるでしょう。しかし、自宅で料理を作るという継続が無かったなら、当然ですが進歩はないでしょう。もう少し付け加えると、料理を食べてもらう相手がいれば、より、上手くなるのでは。本を読むということも、ただ読むだけでなく、その内容を他の人に伝えようとすれば、その密度も高くなっていきます。こうした点では、短時間も長時間も変わらないのです。
リーディングフィールズでは、アドバイスレポートを作成し、受講生の方にお送りしています。たぶん、10倍の40時間の訓練を行なったとしても、アドバイスレポートの内容というのは、そんなには変わらないと思います。自分自身の読書の問題点を知り、自らが自分の読書を変えること。速読の訓練というのは、その方向性をしっかりとしたものにすることでもあります。
Q. 速読はどんな本にも有効なのですか?
A. 答えはイエスであり、ノーでもあるのですが、この質問の場合、「速読とは何なのか」を最初によく考えてみることが大切になります。速読という意味を2つに分けて考えていただきたいのです。
・普段の読み方を速くする(意識しない速読)
・力を入れた読み方を速くする(意識する速読)
例えば、実用書などを読む場合、「何が書かれているか」など、情報を得るという目的で、速く読むことは可能です。しかし、実際の読んだ人の感覚というのは、「それは、ある程度無理をしたから」「普段の読み方は変わらない」という感想で終ってしまうことがあります。「力を入れた読み方」と比較すると、速くなる速度というのは、少しかもしれませんが、「普段の読み方を速くする」というのも、速読のひとつです。
普段の読み方、つまりここには「どのような本でも」という概念は入ってこないわけです。「速読は使える技術かそうでないか」みたいな話も、同じようなことです。当然ながら、普段の読み方が速くならなければ、速読とは言えません。しかし、力を入れた特別な読み方も、速読です。そうした読み方を、日常の中でどのように利用していくかで、速読に対しての価値が変わってきます。
辞書には、「普通よりも速い速度で読むこと。」と速読が定義されています。その速さが有効であれば、それは速読と言えるはずです。
Q. 速読の訓練に、合う合わないという相性はあるのでしょうか?
A. 確かにこのような声を聞くことはあります。速読の訓練というのは、人によって効果が違うというようなことです。何らかの教材などでも、ある人は効果があったと言い、ある人は効果が無かったと言うことはよくあるようです。では、それは相性の問題なのでしょうか?
「何をやったらいいか」という速読の訓練はけっこう公開されています。効果のあるもの、あまりないもの、いろいろありますが。しかし、「何を、どうやったらいいのか」ということについては、あまり言われていないように感じます。
「どうやるか」というのは、速読だけでなく、最も大切な部分であるはずです。人は、それぞれが違います。言葉を投げかけたとしても、どのようにその言葉を受け取るかは違っています。「どうやるか」は、速読の指導を行なう側にとっては、かなり難しい部分です。相性の問題と結論づけてしまう前に、「どうやるか」という部分に眼をやるのも大切だと思います。
Q. 速読というのは独学では難しいのでしょうか?
A. 速読についての本などは多く出ているようです。そうしたものを使って、独学で速読の訓練をしている方もおります。そうした方から、同じような質問を受けたりします。
決して独学で無理だ、ということはありません。実際、本などの独学で成果を出している人もいます。そして何よりも、速読という特別な訓練など行なわなくても、本を読むのが速いという人は、世の中には数多くいます。
速読の指導とは何かを少し説明します。
(A)意図を理解して訓練を行なってもらうこと
(B)受講生の方の読み方がどうかなどの診断
まず、(A)の訓練を行なうという点では、独学でも問題はないでしょう。ただし、書かれている通りに訓練を行なっているかとか、高いモチベーションで行なえるかという問題はありますが。
次に、(B)の診断ということ関しては、独学ではかなり難しい部分となります。ほとんどの方は、自分がどのように本を読んでいるかなど意識はしません。身体の姿勢がどうか、眼の状態がどうなっているか、こうしたことは、客観的なアドバイスが必要になることです。診断というのは、問題が無かったなら、「問題はありません」で終ってしまうことです。しかし、問題があったのに(ほとんどはあるのですが)、この診断(アドバイス・修正)が無かったならば、訓練というのは無駄な時間になってしまう可能性もあります。最悪な状態としては、悪い癖がついてしまい、逆効果となることもあります。独学で成果を出せるかどうか、実際に教室で講座を受けてもらうことと比べると、難しいと考えていただいた方がいいでしょう。
しかしこれは、独学が無理だという話ではなく、上記の問題点を、どれだけしっかりとフォローできるかということになると思います。客観的に自分の状態を把握する、という視点を持ったならば、独学でもかなり良い成果が出せるかもしれません。こうしたことは、何も速読だけの話ではないでしょう。スポーツなどの練習でも、自分で行なう練習の部分と、プロから指導してもらう練習の部分というのがあります。勉強にしても、良い家庭教師などからマンツーマンで教えてもらった方が、良い側面はあるはずです。
Q. 本はゆっくりと読みたいのですが……?
A. 速読というと、なんでもかんでも「速く読むこと」だという印象があるのかもしれません。速く読むのも、遅く読むのも、いろいろある読み方のひとつです。特に、素晴らしい本を、じっくりと味わって読むということは大切なことです。速読というものは、そうした読み方を否定するものではありません。
速読というものを2つに分けて考えていただきたいです。
一つは、「普段の読み方を速くしよう」、というものです。あくまでも普段の読み方なわけですから、そんなに速くなることを考えなくてもいいです。本の読み方にはそれぞれ癖があります。例えば、指でずっと文字をなぞりながら読むという人もいます。当然ですが、こうした癖を修正するだけで、この普段の読み方は速くなります。やや極端な例と思われるかもしれませんが、こうした、ちょっとの修正というのは、他にもあります。普段の読み方がちょっとでも速くなれば、そこには余裕が出てきます。よりしっかりとした理解にも繋がっていきます。
もう一つのの速読。それは、「ここぞというときに、力を出して読むという読み方」です。与えられた時間の中で、読まなければならない、という状況はあると思います。ゆっくり読みたくても、仕事などでは速く読むことが求められます。
このように2つに分けて考えてみると、「本をゆっくりと読みたい」ということは、「速読」と相反するものにはならないはずです。
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