「数値としての向上」はもちろん大切なことであり、目指すとことでもあります。しかし、「読み方の質の向上」があって成り立つものです。基本の速読講座は、この「読み方の質の向上」に重点を置いていますので、無理やり読書速度の「数値としての向上」だけに目を向けることはありません。
特に、下記の「Aグループ」「Eグループ」の方については、大きな読書速度の「数値としての向上」があるわけでは無いです。どちらかとと言うと、「数値としての成果の出にくい方」となります。速読トレーニングは魔法ではありません。現実的、読書速度について考えていただくことが、これからの読書にとっても重要なこととなります。
受講していただく方は、主に次のグループに分かれます。
Aグループ |
・十分な技術があって無理の無い速さとなっている方
・雑な読み方となってしまっている
・眼だけでとても無理のある読み方となってしまっている
・特にクセのある状態で速度だけが速くなってしまっている
※ 特にこのグループの場合、質の伴った速さの方と、
質の伴っていない速さの方と、大きく分かれてしまいます。
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Bグループ |
・やや本を読む、やや速い読書速度となっている
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Cグループ |
・月に数冊の読書、速さや理解についての悩みを抱えている
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Dグループ |
・あまり本は読まない、やや読書速度が遅い状態となっている
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Eグループ |
・年少者
・ほとんど本を読んだことのない
・クセのある読み方が強く固定されている
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速い ← 読書速度 → 遅い
多くの方はCグループに属します。特に10代後半から20代、30代の方々は、勉強や仕事などで「速く読む」ということが必要となっている方が多いだろうと考えられます。この講座は、このCグループのもっとも中心となるところに焦点を当てプログラムしたものです。
※ 5つのグループについては、「
Aグループの皆さん
読書速度の「数値としての向上」について、あまり大きな変化は無いとお考えください。
この基本の速読講座の目的は、あくまでも短時間で、読書の土台をしっかりしたものにするというものです。ですから、驚異的な読書速度を求めるものではありません。目的が違っていたならば、よい効果は期待できません。
実は、読書速度の数値は高いけれど、読み方の質が弱すぎる、という方が多いのです。
速読の考え方を知っていただくこと、フォーム(身体の姿勢・眼の動き)という基本の部分を丁寧に整えることは、「読み方の質の向上」を上げることにおいて、とても大きな意味をもちます。もちろん、それは、これからの読書速度全体を、さらにスキルアップさせること繋がっていきます。
自分ではなかなか気づくことの無かった、読書の問題点について把握して、これからの読書のプラスにしていくものと、お考えください。
Eグループの皆さん
読書速度の「数値としての向上」について、あまり大きな変化は無いとお考えください。
実は速読をやりたいという方で、ほとんど本を読まないという人は多いのです。ほとんど読書を行わないが、読書トレーニングを行っても、大きく読書速度が上がることはありません。
文字を認識する力、速い・遅いを感じる力、フォーム(身体の姿勢・眼の動き)など、スポーツとして考えた場合の基礎体力となる部分が弱いからです。
しかし、全く効果がないというわけではありません。「読み方の質の向上」の成果はもちろんですし、速読の考え方、これからの注意点、意欲というものを掴んでいただくことができます。これからの読書を行っていく上での、大きなキッカケとしていただける内容であるとお考えください。
B、C、Dグループの皆さん
人数的にも圧倒的に多いのが、これらのグループの皆さんです。「数値としての向上「読み方の質の向上」の両方で、読書速度の変化を大きく実感される方が多いです。
中には、「これまでの読み方がとても、勿体ない状態だった」というケースも多くあります。十分な力がありながら、速読の考え方、基本となる部分を知らないために、遅い読み方が固定されてしまっていた、という状態だからです。
現状の読書速度がMAXかというと、そうではありません。基本的なことに目を向けて、しっかしとトレーニングをしていただくことで、大きく変わってきます。
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(1)わからない状態でページを進めている
(2)眼の動きが大きすぎる
(3)力でねじ伏せる読み方となっている
(4)すぐに疲れてしまう
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これらは全て、悪い状態です。特に、(1)と(2)については、強いクセとして固定されてしまっていることが多く、一般の方よりも、マイナスの状態となっている、と言えます。
以下は、わかりやすい事例です。講座の最初の状態と、最後の状態と、このような違いになることが多いです。
【講座の最初の状態】
最初の読書速度 2,000字/分
・レベル3、4くらいの浅い理解
・眼ばかりを不自然に動かしている
・本と眼との距離が近い、視野が狭い
・無理をしていることですぐに疲れる
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【講座の最後の状態】
最後の読書速度 2,000字/分
・レベル5の十分な理解
・ナチュラルな眼の動き
・適切な距離感、広い視野
・疲れの無い長時間集中できる状態
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最初の読書速度は、十分に速い方なのですが、十分な理解の無い状態で出していることが多いです。また、無理をしていることで、眼の動きなど、適切な状態とは言えません。ロスの大きい読み方となり、文字を認識できない、速い・遅いの感覚がわからない、疲労感が強く、長時間集中できない、何よりも、読書を楽しんでいない、という状態だったりします。
特に、「(1)わからない状態でページを進めている」「(2)眼の動きが大きすぎる」は、大きな問題です。スポーツなどを想像していただくと、わかりやすいと思いますが、強く固定されてしまったクセというのは、簡単には戻らないこともあります。基本、土台の弱い状態で、無理をしていったならば、読み方は雑な状態、不安定な状態となり、取り返しのつかないことになります。
他団体で速読トレーニングを経験された方の中には、「速くはならなかった」「理解の伴わないもので、力にならなかった」など、否定的な考えになってしまっている方もおります。「速読の基本となる部分」「読み方の質の向上」について、全く教えられていないというのが現状だったりします。
速読の指導というのは、経験、繊細さが求められるものです。適切な注意・アドバイスが、速読トレーニングには、欠かせないものです。